通商産業省 関東通商産業局 関産認協第1476号

METSA

組合員探訪

第11回訪問 2015年11月26日(木) 株式会社エムシーキューブHD

組合員探訪
株式会社エムシーキューブHD
住所
静岡県伊豆の国市古奈430-1 和光ビル3F
代表取締役
関野 光宏様
設立
1998年3月
組合加入日
2004年5月
探訪日
2015年11月26日(木)15時~17時 
小倉事務局長、理事小池が訪問いたしました。

今回は、子会社の株式会社エムシーキューブ代表取締役社長 佐藤修身氏にお話をうかがいました。

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会社概要

本社所在地の「伊豆の国市」を初めて聞いた方もいるかもしれません。三島市の南、伊豆半島の付け根に位置します。2005年に伊豆長岡町など3町が合併してできた新しい市です。
会社の理念として、コンピュータやネットワークの有効利用を促進することにより、①便利でゆとりのある社会構築への貢献、②教育を充実し次世代を担う人材育成への貢献、そして③地域に根差し地域の活性化や雇用への貢献を掲げています。
業務用アプリケーションソフトの受託開発、PMSやISMSなどのコンサルティング事業などを中心に業務を展開し成長している企業です。
*PMS:個人情報保護マネジメントシステム

会社を設立してから振り返ってみていかがでしょうか。ご苦労されたことは?

親会社社長の関野と私は、(東証一部上場会社のジャステックで働いていたのですが)二人とも地元出身でかつ跡取りのため、地元でなんとか仕事ができないかなと考え、まず関野が独立、そして1998年に会社を設立いたしました。
当時は、今のようにセキュリティや個人情報保護対策が厳しくなかったので、SOHO(SmallOffice HomeOffice)という形態で、現場に行かなくてもメールやインターネットで、東京の大手のSIerから直接仕事をいただける時代でした。VB、PowerBuilder、VCなどの言語で、クライアントサーバシステムのクライアント部分の開発を行っていました。
まだWindows上の言語で開発できる技術者や会社は少なかったので、小回りが利く開発会社として実績を上げ大手SIerさんとの取引を伸ばしていきました。
苦労したことは、当時マイクロソフト製品等の情報や言語のTechTIPがあまりなかったので、自分で検証環境を作り調べたりして解決したことでしょうか。それが幸いしてスキル的に評価いただき、他社の作成したUIも含めて仕様の標準化を決める指導的立場を務めるまでなりました。

貴社の状況や、これから力を入れること、方向性などはいかがでしょうか。

今まで地の利を活かせたSOHOは、オフショアでの開発増加やセキュリティリスクの保護強化で、受託開発が目減りし時代の変化から外れてしまいました。逆に東京で常駐せざるを得なく、交通費や宿泊費の出費など地元にあることがデメリットになってしまいました。
そこで、エムシーキューブとK-BASE(エムシーキューブの元社員が独立し東京で設立)の親会社としてエムシーキューブHDを創立し、3社からなるグループ会社へと体制を変更し、エムシーキューブは主に地元の案件を、K-BASEは首都圏のビジネスを受注しています。親会社のエムシーキューブHDでは子会社の間接業務を担当し、グループの採用活動や新規事業展開も行っています。新規事業として、PマークやISMSの認証取得や運用支援のコンサルティングビジネスを開始しました。徐々にビジネスになってきていて、今後とも発展させていきたいと考えています。

PMSやISMS認証のWEB運用支援ツールを企画開発し製品化するそうですね。

コンサルティングや教育研修を積み重ねる中で、重要なことは、更新審査に向け、PDCAサイクルをどう回し、リスク管理や運用管理が適宜・漏れなく・効率的に実施できるかどうかと考えています。そこで、蓄積されたPMSの運用管理のノウハウを、WEBシステム化して運用を支援するツールを企画・開発・製品化を進めています。
具体的には、書類や資料などを含めて日常の記録、内部監査や点検、入退・持出し管理、計画作成や更新審査手続きなどをWEB上で操作できるようになります。1年以内に発表する予定です。

経営理念で地域に根差したビジネスへの貢献を掲げていますが。

現在、日本全体で「地方創生」がキーワードになっていますが、地域でビジネスとして確立させることは本当に容易ではありません。しかし、様々な努力や提案をしているところです。
例えば、親会社は超高速開発ツール(Wagby)の販売代理店となっています。地域の顧客に各々の業務システムを、Wagbyでクラウド上から使えるように開発し、安価な月々定額料金でご使用いただけるサービスを提案しています。
また、三島市にある顧客ですが、今後ビジネスが大きく発展する可能性があります。ただ人材が地域に少ないので、社員を東京から引っ越してもらうという矛盾もあり頭を悩ませています。(笑)

商談会や協議会はいかがでしょうか。またご要望やご意見等何かありましたら。

現在、共同求人研修研究会に参加しています。ほかの会社の参加者と話ができる貴重な機会です。おかげさまで今年の合同企業説明会で1名の新卒採用ができました。今後は、研究会で社員のキャリアプラン制度についても新たな方向性を出していければと考えています。
ダイレクト商談会については、社員の提案や、社員の入っている現場での人材募集であれば責任をもって提案できるのですが・・・、なかなか難しいところはあります。

人材採用状況や採用方法についてはいかがでしょうか

METSAの共同求人研修研究会や、静岡県ソフトウェア事業協同組合(SSA)の採用活動を通じ、新卒1名の内定者を採用できました。また、その他のチャネルで4名を予定しており、状況や本人の意向、適正を考慮し東京、静岡に勤務場所を振り分ける予定です。問題は新人を受け入れてくれる現場を見つけることが非常に難しく苦労しているところです。この辺もMETSAの組合員さんのご協力ご支援をお願いしたいと思います。

人材育成や人材形成方法などについてはいかがでしょうか。

自前で技術教材を作成し、全社員に毎月課題を与え通信教育を実施しています。例えばProject Management手法やOracle DBのチューニング方法であれば、そのシリーズで6ヶ月間ぐらい続けて課題を全社員に課します。設問は各月当り5~10問くらいの分量で、およそ1日でできる内容となっています。
PMSやISMSに関する問題も別途課題や問題を与え回答させます。
その結果を賞与の査定に反映しています。
また、一緒に業務を協力していただいているパートナーさん向けに約3ヶ月に一度PMSやISMSに関する通信教育を実施し、セキュリティに関する意識の維持向上に努めています。

なぜそこまで教育に力を入れているのでしょうか。

それは、グループの方針としてきっちりしているところで、当社の経営理念に掲げていますように、教育は人材育成の基本です。会社の規模に関係ありません。
プログラマーから顧客の要望を設計に落としこむSEへキャリアアップを効率よく図っていくには体系的な教育が必要です。
弊社はIPAのITSS(ITスキル標準)の運用をキャリア形成のために長年実施してきました。教材を作るのも手間がかかり大変ですが、ここまでやり続けてきました。継続は力なりです。
しかし10年以上の技術者のスキルアップには、別の体系が必要かなと感じています。そこを共同求人研修研究会でご指導いただければと考えています。
目指すのは、一人で何でもできるSE、独り立ちできるSEです。

事業継承などの取り組みにつきましては

ホールディングス化したことで、親会社の傘下にグループ会社を創設していく予定です。ベンチャー精神の育成や、今後、会社を興したい社員も出てきた場合、その受け皿になればという願いもあります。

JAPiCO、PマークやISMS、派遣法改正についてはいかがでしょうか。

大手SIerとのお取引を継続・増加させるためには、PマークやISMS認証取得が必須なので取得済みです。
許可制派遣法については、来年早々から特定派遣事業から切り替え申請の準備を予定しています。新派遣法では、各社員の教育や研修などのキャリアプランやキャリアコンサルティング制度が必須・義務となっております。弊社では教育制度はすでに取り組んでいますが、今後は共同求人研修研究会を通じてキャリアコンサルティング制度を確立していきたいと考えています。

探訪後記

三島駅を降り、伊豆箱根鉄道の電車に乗り換えます。車内は下校時の高校生たちのにぎやかさで満ちていましたが、窓の両側にはのどかな風景が続いています。しばらくすると伊豆長岡駅に着きます。ここは温泉街だよね。IT企業がなぜここに?と疑問に思っていましたが、関野氏、佐藤氏ともに地元出身で跡取りとのことで、ここを拠点にビジネスを展開している状況を、詳しく丁寧にお話しいただきました。
現在、日本全体が地方創生の御旗のもと地域の活性化に動いていますが、現場で努力してもなかなか難しい状況です。それを打ち破っていく契機になるのは、志しを持った人材だと思います。
同社は社員教育やキャリア形成に力を入れ継続して取り組んでいます。このようにしっかりと考え、取り組んでいる会社はあまり多くないと思います。人材育成がすべての基本であることを認識し実践している企業だと感じました。
佐藤社長は、写真のとおり精悍で誠実、ITをとおしてイノベーションを起こせる素質と覚悟を持った方で、ず~っと長くお付き合い人だと思いました。普段の休日は、地域活動やご自身及びお子様の野球でお忙しそうです。

終了後、世界文化遺産の韮山反射炉をご一緒に見学させていただきました。本当にありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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