通商産業省 関東通商産業局 関産認協第1476号

METSA

組合員探訪

第19回訪問 2017年2月1日(水) ネクストウェア株式会社東京営業本部

組合員探訪
ネクストウェア株式会社東京営業本部
本社住所
大阪府大阪市中央区北久宝寺町 4-3-11 ネクストウェアビル
代表取締役
社長 豊田 崇克様
東京営業本部
東京都港区南麻布5-2-32興和広尾ビル9F
執行役員
東京営業本部本部長 福田 幸一様
設立
1990年(平成2年)6月1日
組合加入日
2003年(平成15年)4月15日
探訪日
2017年2月1日(水)16時~18時 
樽屋監事、小倉事務局長、理事小池が訪問いたしました。

東京営業本部は、日比谷線広尾駅から徒歩ですぐのところにあります。
今回「組合員探訪」では、東京地区のトップであります執行役員 東京営業本部本部長の福田様にお話を伺える機会を頂戴いたしました。またMETSAの活動に大変な貢献をいただいております佐々江様にも同席いただきました。
組合の活動において数々の御指導をいただいており、日頃からお世話になっている組合員さんも多いのではないかと思います。

会社概要

本社は大阪本町にあり、JASDAQ上場企業です。主要事業は、システムアウトソーシング事業や自社パッケージ開発・販売を含むソリューション事業等で多岐にわたっています。従業員数は、連結子会社を含めて約280名となります。

貴社(東京拠点)の特徴と強みを教えてください

当社は、本社の大阪、名古屋地区、そして東京と3拠点あり、それぞれが独立した事業体として運営を任されております。大阪地区は製造業やメーカ系などの大阪地場会社様の仕事、名古屋地区は自動車関連の会社様の仕事が多いですね。
それでは東京拠点の特徴は、と申しますと、幅広い業種のお客様と取引させていただいており、取り扱うサービスも多種多様です。他の拠点のように特定の業種やサービスに特化したほうが、経営効率が良いのではと思われがちですが、東京地区において他社との競争に勝ち抜く一つの知恵だと思っています。その『秘訣』についてはあまり口外したくない(笑)のですが、これからのお話の中で出てくるかもしれません。
各拠点はそれぞれ独立した事業体ですから、経営を肌で学べます。私は東京事業会社の経営を任されているという意識を常に持って執行しています。他の拠点との関係は、全国規模のお客様や案件を遂行するためのパートナーであり、切磋琢磨し合う良きライバルという関係です。

貴社(東京拠点)の、取り組みや目指す方向性を教えてください

これが先ほどの『秘訣』のひとつなのですが、お客様の情報システムを『紡ぐ』ということです。
私が全国を歩いていて感じるのは、地方のお客様はほぼ一社の情報システム会社との丸抱えの取引で情報投資を行う傾向があります。しかし東京地区のお客様は、案件ごとにその都度適切な業者やサービスを選択し導入なされるケースが多いと感じます。『調達業者の選択の多様性』ですね。
ところが、お客様の現場を拝見しますと、多くの納入業者が、個別商品やサービスを納入して、『はい終わり』と言って引き揚げてしまうケースが頻繁に見られます。各サービス間の隙間や不足や不整合をどうしてよいのかお客様は困っておられます。例えば、様々なクラウド機能を導入した途端にマスタデータ配信やメンテナンスが追いつかないケース等、容易にクラウドサービスの導入が行えるようになった反面、昔でいう企業の『大福帳』が失われつつあるようにも思います。
そこで、私たちはお客様の点在したシステム間の隙間や不足や不整合などを縦糸と横糸で『紡ぐ』という役割を担っていきたいと考えています。『紡ぐ』をキーワードにお客様の本来の情報投資による生産性を高めていきたいと考えています。

もう一つの『秘訣』ですが、『マルチなデータ』を活かした業務システムの提案です。
もはやERP統合パッケージのRDB型データベースさえあれば企業経営が成り立つ時代ではありません。ソーシャル非構造型データとの連携やHTML構造化などの提案が花盛りですが、私たちはその先を見据えています。
例えば、製造業のお客様に対しては、これまで取り込むことが難しかったマイクロ秒単位の連続信号を生産設備から吸い上げてリアルタイムに統計監視する仕組みを提供しています。また、流通サービスや医療介護施設などの人やモノの流れが伴うお客様に対しては、監視カメラからの映像音声データやGPS情報を用いた新たな業務システムを提供しています。顔認証エンジンによる人の分別や、撮影写真からのOCR抽出など要素技術は多岐に渡ります。
このような技術をトータルに組み合わせてお客様にご提案できる力のある企業は意外と少なく、当社の優位性を出せる市場だと思っています。広義のIoTとビッグデータの利用事例を様々な産業、業界で具現化していきたいと考えております。

拠点運営においてご苦労する点などを教えてください

マーケットイン型事業を目指す当社では、特定のプロダクトや特定市場分野に偏らないチーム体制が必要です。更に言えば、経営トップから、私たちはITに捉われない、ITの向こう側にあるお客様ビジネスを見据えた目線を常に持つことを指導されています。
私たちは、お客様にとってのカウンセラーを自負する以上、社員は多彩なスキルを保有しなければなりません。そうでなければ、お客様への提案に深みと説得力を持たせられません。
東京拠点には、一芸に秀でた専門家と同時に、目線の高いジェネラリストも育成する必要があります。例えば、ERP系の技術者は、その業務の方向でスキルを伸ばしていくのが普通のやり方です。でも当社では、WEB系の開発の次にPLCラダー図業務に取り組ませることに躊躇しません。IoTとビッグデータが結びついていますから、技術者のスキルや知見も幅広くないと顧客への提案が幅の狭いものになってしまいます。それは言うほど簡単ではありませんが、競争相手がひしめく市場において、提案コンペで他社に負けない自信があります。他社とは目線が違うとお客様に言われることが本望ですし、この方向で勝負をかけたいと考えています。

組合に加入された理由・背景を教えてください

今まで述べたように、当社として、お客様に真の効率化を提案し、且つ情報通信業界で生き残るためには、1社単独で成立できるものではありません。また大手企業だけではお客様のきめ細かなニーズにお応えできません。
情報通信産業の9割以上が中小企業やベンチャー企業で構成されていることを踏まえると、その情報交換を効率良く行うためにはMETSAのような協同組合と一緒に協業する場は不可欠だと思います。私が担当する東京事業所のようにお客様業種の幅広さや、取り扱うサービス種類の多様性を考えるとなおさらです。

貴社における組合の位置づけや他の加入組合との棲み分けを教えてください

当社は、情報通信産業の団体に積極的に参加しております。各社様のご支援にも預かり、社長の豊田はCSAJ(一般社団法人コンンピュータソフトウェア協会)の副会長も務めさせて頂いており、私も勉強させていただいております。変わらぬ考えは、ソフトウェア産業が次の日本の産業をリードするという自覚をもって、産業全体の隆盛に貢献したいという思いです。METSAに参加させていただく理由も同様だと理解しています。

組合での実績や効果はでていますでしょうか?

すでに顕著な効果・成果が出ています。社内要員だけでは賄うことが難しい大手金融企業様への提案や、大規模インフラ構築案件など、毎週開催頂いている商談会の場を通じて、技術者様をご紹介いただけることに本当に感謝しております。困ったときには、いの一番に相談させていただく駆け込み寺のような存在です。

組合への期待、ご要望やご意見はありますでしょうか?

私の担当する東京拠点では、本社は東京でも全国各地に事業拠点を構えておられるお客様が多数いらっしゃいます。ハイテク製造業のお客様のフラッグシップ工場の多くは九州に拠点があります。また建設業のお客様は、東北・北陸などに事業拠点を構えます。これら地方拠点の現地サービス体制を高品質で高効率にどう構えればよいのか、私の悩みでもあります。METSAの広域なネットワークの活用方法についてご相談させていただきたいです。
また、常に人材不足に見舞われている今日では、ニアショア開発体制を真剣に考えていく必要があります。更にIT技術者の高齢化が進むこれからの10年先を見据えますと、将来Uターンを希望する地方出身技術者が安心して東京でのITの仕事を継続できる職場環境を、METSAの広域網を使って便宜を図り合う仕組みを整備することができれば、ソフトウェア産業の発展に寄与できると考えております。

人材の採用方針と状況をおしえてください

当社では、新卒中途採用を問わず常に技術者を募集しています。私のポリシーとして、拠点責任者である私が自ら当社の魅力をお伝えし、応募者の人生設計の考えをじっくりお聞きする場と考えています。面接というよりむしろ、お見合いに近いかもしれません。おかげさまで毎年新たな戦力を迎えられています。
よく、『即戦力』とか『未経験者』とかで分別する傾向がありますが、私はその言葉が好きではありません。今の時代、どれだけ最先端の技術でも5年経てば陳腐化してしまいます。すなわち誰もが5年経てば未経験者になる時代です。また高度成長期、つまり我々が若手エンジニアだった時に、数多くの大規模プロジェクトを任されてきた時代とは異なり、今の技術者は大規模案件を任されるチャンスが圧倒的に少ない時代です。ですから我々目線でいうところの『即戦力』というものを求めても、今の時代には即さないと思います。大切なのは『伸びシロ』だと思います。

人材育成やキャリア形成方法などについてはいかがでしょうか。

METSAの委員会の場をお借りして取り組んでみたいことがあります。私の職場では、一人ひとりの技術者の職務経歴書(私は『個人カルテ』と呼んでいますが)を徹底してピカピカに磨き上げるという社内活動を継続して行っています。問題意識を持ったのは、当社の社員や他社様からの技術者の職務経歴書をお預かりしたとき、『いつも何だか違うな』と違和感を覚えていたからです。例えば職務経歴書には『販売管理システム開発に従事』とか、『.Net開発』などと書かれていますが、その技術者なりのこだわりや創意工夫、行き詰った壁などの歴史が見えてこないことが多いのです。技術者が最も大切にすべきことの一つが自身の職務経歴書であると私は考えています。どのような書き方が技術者の本当の価値⦅当社ではそれを『スキル定義』と呼んでいます⦆を表現できるのか、についていろいろな方と議論してみたいですね。

探訪後記

福田本部長のお話は、これからのIT業界を生き抜いていく企業にとって、どのような方向を目指せばよいのか、非常に示唆の富んだ内容でした。
会社のビジネスの方向性と、それを支える社員の考え方や身に着けるスキルの方向性。これらのベクトルを一致させるだけでも大変な労力だと思いますが、それを踏まえて更に、ITという範疇を超えてお客様のビジネスを成長させるための提案力や企画力、実行力の実績を積み重ねていくことが勝ち残る秘訣であるとおっしゃっていました。

また日頃より組合の活動を支えていただいています。
一例ですが、組合員の営業の方々もいろいろな問題や不安や悩みを抱えて活動していらっしゃいます。またこの業界に初めて入られ営業活動をする方もいます。そのような方々に対し、福田本部長や佐々江様が中心となり、広尾の東京本部にて2ヵ月に1回程度の割合で集いを催していただき、営業どうしのチームワークや信頼感を向上させていただいております。

福田本部長から、職務経歴書の作り方に対してご提案がありました。確かに今の職務経歴書からは、技術者の『誇り』や『人生観』が見えてこないのかもしれません。私達は混とんとした時代の流れの中で、一番大切なものを見失ってしまったように思います。福田本部長のおっしゃりたいことは、単なる書き方の問題ではなく、技術者一人一人の歩んできた道を掘り起こし、ご自身のストーリを紡ぐ作業ではないかと思います。ぜひとも組合の中で問題意識のある方々とご検討とご指導をいただければ幸いです。

本当にお忙しいところありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いします。

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