通商産業省 関東通商産業局 関産認協第1476号

METSA

組合員探訪

第18回訪問 2016年11月30日(水) 株式会社HT-Solutions

組合員探訪
株式会社HT-Solutions
住所
神奈川県横浜市青葉区市ケ尾町1157-5 BUILDING 501F
代表取締役
田村 久則様
設立
2006年(平成18年)11月
組合加入日
2012年(平成24年)5月
探訪日
2016年10月19日(水)16時~17時 
樽屋監事、小倉事務局長、理事小池が訪問いたしました。

東急田園都市線市ヶ尾駅周辺は、青葉区役所などがあり青葉区の行政の中心地になっています。駅改札からバスロータリーを抜け、歩いて1分~2分のところにオフィスがあります。駅に近いと言いましても、周りはマンションが並ぶ住宅街の中にあり、落ち着いて仕事ができる印象がありました。
田村代表は、経営者でありながら、現役のコンサルタントとして現場を切り盛りする大変お忙しいかたです。そのような中で、「組合員探訪」に快く協力をしていただきした。
インタビュー前に、組合の最近の活動(商談会、WEB入札研究会、共同求人/人材育成委員会、活性化委員会(12月7日のボウリング大会・懇親会含め))などについてお話しいたしました。

会社概要

米国Oracle社のERPソフトであるEBSを使用した業務システムの開発や保守業務に多くの実績があります。それらの業務に関連する優れた技術と豊富な経験を持つ技術者を抱えています。また、飲食店様向けなどへのサービスビジネスに力を入れており、営業拡大に力を入れています。

会社設立のきっかけや、当時の状況はいかがでしたでしょうか。

最初は大手メーカー系SI会社に所属しSEでした。40歳くらいで辞め、次の会社で主にオラクルのERP/EBS関連のコンサルやSE業務に携わりました。ゆくゆくは独立したいと考えていたのです。もっとお客様に近いところでお客様のために仕事をしたい。これを実現するために、2006年に後輩たちを含め3人で会社を起ち上げました。
当時は、ERP市場は二桁の伸び率を上げており、案件の中にはコンサルフェーズから4年、5年続くプロジェクトが数多くありました。弊社はオラクル社のEBSに特化していましたので、EBSを担ぐSIerさんと密接に深くそして長期的にお付き合いができるようになりました。

特にご苦労されたことはなんでしょうか

設立後10周年になりました。よく持ち堪えたものだと思いますよ。
苦労といえば、ビジネスの伸びに合わせて社員の採用や育成ができていなかったことでしょうか。社員数や売り上げも現在の倍くらいにはしたかったです。退職者がでても、中途採用ができない状況です。その結果社員の年齢構成のバランスが悪くなってしまいました。特にERPに関する開発は、顧客特有の業務の全体的な流れや顧客のクリティカルな要求などを把握し定義できる技量が必要なので、そのような人材を採用することは非常に難しいです。

貴社の状況や強みなどはいかがでしょうか。

やはりEBSに特化した開発で大手SIerと直接お取引をさせていただいていることでしょうか。また保守運用Phaseについて大手Sierは、問い合わせや障害対応が多く単価に見合わないので消極的な傾向があります。弊社はプロジェクトに長期間携わっていますので、SIerやエンド顧客から『直接保守運用を契約してほしい。』と声がかかります。現在では、保守運用業務の占める割合が多くなったのではないかと思います。もちろんアドオン開発も引き受けています。

貴社の、これから力を入れることや、方向性などはいかがでしょうか。

新規のERP開発は徐々に少なくなってきています。導入時に何十億というお金がかかり、バージョンアップ時もそのくらいのお金が必要です。結局スクラッチ開発と何ら変わりないということになります。日本の場合、パッケージにフィットするところが少ないですね。そのやり方に会社の業務を合わせることは難しいのだと思います。保守運用ビジネスも、年々単価が低下してきています。いわゆるSESビジネスはだんだん難しくなってきていると思います。
そのような背景を踏まえ、これから力を入れていくことはストック型のサービスビジネスですね。インドの会社と提携し、飲食店様向けに『orderSmart』というセルフタッチパネル式の注文システムを開発しました。お店でよく見るタブレットから画面を見てメニューを注文するシステムですね。現在約40社に月々定額で契約していただきご使用いただいています。

『orderSmart』サービスをもう少し説明いただけますでしょうか。

飲食店は、人手不足が深刻です。注文したくて呼び鈴を鳴らしても店員さんがなかなか来ませんよね。既存のセルフオーダシステムは高価で簡単には導入できません。
弊社のサービスは、お客様がAndroid端末を通して注文していただいた情報をクラウド上のサーバで管理しキッチン現場やPOSと連携したものです。導入自体も安価です。人件費も抑えられますし、何よりもお客様の満足度や客単価が上がり、リピータも増えていきます。
導入した飲食店さんには効果が目に見えて表れますので非常にご好評をいただいております。契約件数は徐々に増えていますが、さらに拡大するために営業活動を強化しています。サポート体制もしっかりしないといけません。ただ飲食店によっては、サービス料を回収できないことも発生しているので難しい面もあります。
それ以外のサービスもいくつか開発をしていきたいと考えています。これから消費税も上がる予定ですし、飲食店の経営はますます厳しくなってくると思います。例えば飲食店さんの顧客ベースがありますので、Fintechを利用した融資情報のサービスや、クラウド上のサーバに蓄積されたPOSデータを活用して、経営コンサルビジネスも可能なのかなとも思っています。

何かお困りのことがあれば

中途採用が難しいですね。先ほど話しましたように社員の年齢構成のバランスが悪くなってしまいます。ある年代層だけが多くなっています。将来を考えると年代別で分散できたらと考えています。
最近は、SES契約から派遣契約に変更してほしいという要求が多くなってきています。派遣法改正や労働契約申し込みみなし制度の影響が大きいのではないかと思います。ただ一般派遣を取得するハードルは高いので、あと2年間の配慮期間を活用しながら検討していきたいと考えています。
SESから受託・請負ビジネスへのシフトも念頭に置いています。しかし、そのためにはどちらかというとお客様に嫌われるPMやSEを育成する必要があります。なんでも要求を聞いてしまうようではプロジェクトとして成り立ちません。キャッシュフロー・コントロールの問題もあり、そう簡単には進まないですね。

組合の活動状況やご要望やご意見等何かありましたら

今日のお話で伺った、共同求人・人材育成委員会やWEB入札研究会などに興味があります。営業をオブザーバで参加させたいと思いました。
自社サービスの『smartOrder』と類似したサービスをお持ちの組合員や、顧客に飲食店さんをお持ちの組合員さんがいれば、情報を共有したり紹介し合ったりできるといいですね。

人材採用状況や採用方法についてはいかがでしょうか

毎年新卒を3~4名ほど有料エージェント会社利用して採用しています。中途採用がなかなか取れないですね。組合の共同求人の取り組みは面白いと思います。

社員さんへの待遇については何かございますでしょうか。

社員は、ERP/EBSという業務系に強い技術者なので、大手Sier含めて給料の高いところや条件の良いところに引き抜きされることがあります。それを防ぐために給与水準を上げたり賞与を年3回にしたり、出た利益を還元したりしています。社員に対する待遇を改善していくことに注力しています。

人材育成やキャリア形成方法などについてはいかがでしょうか。

EBSやPL/SQLからJavaへスキルチェンジが必要になってきます。お金をあまりかけないでトランスファーするにはどうしたらよいのか悩みますね。

事業継承などにつきましては

まだ私も若いので事業継承について考えていないのですが、すでに株も社員に渡していますのでゆくゆくは社員に譲るつもりです。

JAPiCO、PマークやISMS、派遣法改正についてはいかがでしょうか。

Pマークは取得しています。派遣法改正への対応については許可基準を考えながら、2年の間に取得に向けて動いていければと考えています。

探訪後記

田村代表は、非常に聴き上手な方だと思いました。インタビュー中、我々が一方的に話をしてしまいがちなところがありましたが、代表はうなずき共感を示しながら最後まで口を挟むこともなく聞かれていました。相手に気持ちよく話をさせることの出来る方だと感じました。だからこそ、経営者とコンサルの二つの顔でお客様や社員などとの信頼関係を築きあげられているのかなと納得しました。

田村代表が何度もお話していたことは、ビジネススタイルの変革です。昨年の派遣法改正に伴い、顧客のSESや派遣事業についてコンプライアンスや法令順守が強化されてきています。しかし普通の中小IT企業にとって一般派遣事業の許可を取得することは容易ではありません。真面目にコツコツとビジネスを行っていたIT企業ほど、そのハードルの高さに不安と危機意識を持っています。時代の流れの方向や変化に迅速に見極め対応していくことは本当に必要になってきていると思います。田村代表は、フローからストック型ビジネスへ舵を大きく切り始めました。やるべきことが山ほどあると思いますが、成功されることを願っております。

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